Hostel YUIGAHAMA + SOBA BAR | 鎌倉のホステル,ゲストハウス

Concept

僕らは夢を食べて旅をする。

古今東西、
老いも若きも、
アクティブな人ものんびりやさんも、
つくる人も、描く人も、

料理人も、食べる人も、
飲む人も、歌う人も、
おしゃべりな人もシャイな人も、
地元の人も外国人も、
初めての人も常連さんも。

いろんなものが混ざり合う。
渦巻く熱とざわめきと、
そこから生まれる、
予想を超えた新しい「体験」。

混ざり合う、ワクワク。

ここは、ローカルな冒険をシェアするホステル。

Story

ラクダのお話である。
そのラクダは面白いことを探し、歩き続けているという。
面白い夢を食べて旅をしているという。
体は夜のように暗く、ある月夜の晩にだけ、人の夢に現れるらしい。
そんな何処にでもある、ベストセラーにはならない、小さな小さな言い伝えのような話だ。
当然誰も本当の姿を見たことはなかったのだ。

ある地方のお話は、いつしか色々な場所へと風のように吹いてゆき、
いつしか童話として、子ども達の中で読まれる絵本のような存在だった。

旅人がいた。
その旅人は、何年も彷徨うように、ありとあらゆるものを自分の足を頼りに見て回っていた。
最初は刺激的で毎日楽しくて仕方なかった旅が、
何年も続けて行くうちに、全ての感覚が鈍く濁り、
ただ1日を怠惰にやり過ごすものに変わってしまっていた。
しかし旅を終わらす事もできず、泥のような旅を続けていた。
3年も過ぎた頃、一軒の宿に辿り着いた。
そこの宿には、見た事もない細長いつるつるとした紐のような食べ物があり、たいそううまかった。
その食べ物はsobaという名前だった。
その食べ物に惹かれ、旅人はしばらくその宿を根城にするようになった。
何日か過ぎたある日、一人の老いた男がその宿にやってきた。
旅人は気にする事もなく、その日もsobaを食べた後は散歩したり、
ベッドで何度も読み返している本を、読むとはなしに、眺めながら時間を無為にやり過ごしていた。
旅人が気付いた時には、すでに老人は宿に居座っていた。
老人は、その宿の前の木の下でいつも眠るように座っていた。
旅人はいつしかその老人の佇まいに好感すら覚えていた。
その宿の店主もまた、老人を自然に受け入れていた。

ある時旅人は食べきれないパンを老人に分けてやった。
それがきっかけで、老人とポツポツと話をするようになり、
いつしか旅人も、老人と一緒に木の下で、長い時間を過ごすようになった。
聞き取りにくい老人の口からは、壊れたラジオのようにボソボソと一頭のラクダの話が聞こえてきた。
何処かで聞いた事がある気がしたが、子どもの頃に聞かされたラクダの話とは最初は繋がらず、
またいつもの1日の暇つぶしのように、聞くともなしに流れていった。
次の日も、また次の日も老人は、そのラクダの話を続けた。
毎日聞いていたせいか、はたまた疲れて朦朧としていたのか、
老人の口から語られるオハナシは、なんだか魅力的で、
いつしか旅人はラクダの話を聞くために、老人の側に座るようになっていった。
目的もなく気力もなくしていた旅人は、いつしかラクダを探してみようと、
久しぶりに体に漲る気力を感じていた。

Text by KENTAROU TANAKA